こんにちは。
時間に追われる日々とはちょっと距離を置いて、時計は持たない主義の筆者です。(ゆるい日々ですね…)
皆さんは時計の秒針が一瞬止まって見えた…!という経験がありますか?
実はこの現象、クロノスタシス現象と呼ばれています。
ちゃんとした理由があるらしい、このクロノスタシス現象。
いったいどのような機序で起きているのか、今回はこの現象の不思議を解明していきたいと思います!
クロノスタシス現象とは何?
まずはこの言葉、どのような現象のことなのか…冒頭で述べたような時計の秒針が止まって見える経験をお持ちの方はすぐに「あぁ、あれね!」と分かるかもしれませんね。
クロノスタシス現象とは、簡単に言ってしまうと、時が止まったように見えてしまう錯覚のこと。
時計の秒針が1秒以上止まっているように見えるのが、最もわかりやすい現象のようです。
さて、このようなクロノスタシス現象、錯覚だということは分かったけれど、何故起こってしまうのでしょうか?
次はこの現象の仕組みについて解明していきましょう。
キーを握る「サッカード」
クロノスタシス現象の説明に欠かせないのが、サッカードと呼ばれる目の動き。
人の目は眼球を通して網膜に情報として伝えられ、それが電気信号となって脳に送られた後に画像としてと認識されます。
そしてその情報伝達が絶え間なく行われることでなめらかに動いている景色として認識されるわけですね。
[aside]サッカードとは
視点を固定していても眼球が繰り返している微細な眼球運動のこと。
非常に高速に動くことのできるこのサッカードという能力のおかげで、視野の狭さを補っているとも言われています。
歩きスマホやながら運転のニュースや特番などで時折取り上げられる、歩行中や自転車運転中の人間の視点の移動を点と線で表した動画。
あの動画を見たことのある方はすぐにおわかりいただけたかと思うのですが、あの動きまわる素早い視点の動きが、サッカードなのです。
サッカードは最高1秒間に5回ほど行われることもあるそうで、私たちが流れるようになめらかにものを見ることができるのは、このサッカードのおかげなのです。
サッカードを処理する脳みそ
さて、サッカードについて述べましたが、これによって集められた莫大な情報を適切に処理する場所が、我々の脳です。
目で見た画像はすべて脳で処理されて知覚されています。
サッカードの最中でも、リアルタイムで常に脳では情報の処理が行われ続けています。
脳みそは非常に優秀で、多忙なのですね。
そしてこの優秀な脳は目で捉えた映像、サッカードでキャッチした情報のなかで不鮮明なもの、不要と判断した情報を飛ばして、必要なものにだけ限って情報伝達するようにできています。
なぜなら、すべての情報を伝え続けるよりも、必要な情報だけ伝える方が効率的だからです。
実に優秀ですね…!
これにより、つぎはぎのようにして必要な情報がまとめられて、我々の見ている映像として認識されるのです。
しかも、一回省いてしまった画像部分の穴埋めまで行ってくれているのだとか。
このようにして無駄を省いた、なめらかな最適化された映像が常に送られてきているわけですね。
優秀すぎて困っちゃう
脳が情報処理するスピード、最適化のすごさが分かりましたが、これとサッカード、そしてクロノスタシス現象にどのような関係があるのか?
冒頭で述べました時計の秒針を例にとって解明していきましょう。
じつは、目ではきちんと捉えていたはずの時計の一秒の動きは、脳がサッカードを処理する段階で不要な情報として省かれてしまうことがあるのです。
そして省いた部分を脳が後から穴埋めすることで、動いたはずの秒針が動いていない、止まったように見える錯覚を生じさせているのですね。
脳みその優秀さゆえに生じている錯覚。
これは本来は常にあちらこちらで起きているようなのですが、我々が「あれ?」と知覚できるのは時計の秒針を見たときくらいなので、何か特別な現象に感じてしまいます。
クロノスタシス現象まとめ
今回は不思議なクロノスタシス現象について、ご紹介しました。
サッカードによって得られた情報を脳が最適に処理する際に生じる錯覚だということが分かりましたね。
普段は時計を持たない筆者、この現象を体感したいがために腕時計がほしくなってきました。(流されやすい)
我々の脳の不思議、面白いですね。
腕時計をお持ちの方はお仕事の合間にも、家事の合間にも、ぜひフッと時計を眺めてみてください。
脳の錯覚が体験できるかも知れません!