瀬戸内海に浮かぶ宮島にいったことはありますか?
子供のころ訪れたときは、もみじ饅頭がおいしくて、鹿がたくさんいる島という印象でしたが、大人になってから訪れると、その島の景観美や、厳島神社(いつくしまじんじゃ)の荘厳な存在感に圧倒されてしまいます。
今回は神の島、宮島にある厳島神社が世界遺産に登録された理由や、登録日について迫ってみたいと思います。
厳島神社が世界遺産に登録された理由とは?
世界遺産に登録されるには、ユネスコが定めた登録基準の6項目のうち、1つ以上当てはまらなくてはなりません。
その基準は、以下の通りです。
(ⅰ) 人間の創造的才能を表す傑作である
(ⅱ) 建築、景観設計や芸術、都市の構成や景観の発展において、ある時代や地域における人類の文化的交流の形跡を示すもの
(ⅲ) ある文化的な伝統や文明の貴重な証拠となるもの
(ⅳ) 歴史上の有意義な時代を示す優れた建造物や建築物群、景観の例
(ⅴ) ある文化を代表する伝統的集落や土地利用の典型的な例で、消滅の危機にあるもの
(ⅵ) 世界的に著名な事件・伝統・思想・信仰・芸術作品・文学作品と密接に関係するもの
厳島神社はこのうち、(ⅰ)・(ⅱ)・(ⅳ)・(ⅵ)を満たしています。
なお、世界遺産の登録基準は2005年に改訂されました。
現在は登録基準が10項目になっています。
厳島神社は4つの理由で世界遺産に選ばれた!
それでは、それぞれの理由を紐解いていきましょう。
(ⅰ)人間の創造的才能を表す傑作である
厳島神社は、1168年、平清盛によって現在のような美しい社殿が造営されました。
この社殿の構成は、平安時代の「寝殿造り」の様式を取り入れられた素晴らしい建築景観です。
また、海上に立地し、背景の「弥山」と一体になった景観は比類がなく、これは平清盛の卓越した発想によるもので、平安時代の代表的な傑作です。
(ⅱ)建築、景観設計や芸術、都市の構成や景観の発展において、ある時代や地域における人類の文化的交流の形跡を示すもの
厳島神社の社殿は、御祭神以外にも「宮島」という島自体を御神体としています。
社殿は「弥山」の麓の海上に造った日本における社殿建築の礎となり、その景観は日本人の美意識の基準の一つとなり、唯一無二のもので、日本の精神文化を理解するうえで重要な資産となっています。
(ⅳ)歴史上の有意義な時代を示す優れた建造物や建築物群、景観の例
日本に存在する社殿建築の中でも、度重なる再建・修造にも関わらず、平安時代創建当初の様式を残していて、平安時代の神仏習合の文化をより濃く投影している非常に稀な例です。
世界遺産の選定には、周囲の自然との共存という点も評価されます。
厳島神社は海上に造営されていて、背後には「弥山」があり、海・山の境界に造られています。
この他に類を見ない設計も高く評価されています。
(ⅵ)世界的に著名な事件・伝統・思想・信仰・芸術作品・文学作品と密接に関係するもの
厳島神社は、日本古来の宗教という概念にとらわれない「神道」の施設ですが、日本に仏教が伝来して以来、厳島神社でも寺院形式の祭典が行われていた歴史があります。
厳島神社の歴史を振り返ることで、日本の神道・仏教などの歴史をたどることができます。
日本の文化的遺産として、宗教的特質を解明するうえで重要な根拠となります。
厳島神社が世界遺産に登録されたのはいつ?
1996年12月、広島県の原爆ドームとともに、世界文化遺産として登録されました。
ちえこ
国内の世界遺産としては8番目、世界文化遺産としては5番目に登録されました。
世界遺産 厳島神社に行こう!
厳島神社のある宮島は近年人気の観光地となり、非常に混雑します。
そこで、パーク&ライドを利用して、快適に宮島・厳島神社観光をしましょう。
世界遺産に選ばれた厳島神社
今回は厳島神社が世界遺産に選ばれた理由について迫ってきました。
文化的・歴史的背景や、景観、建造物など、複合的に高く評価され選ばれました。
世界遺産に登録されて、20年以上たちますが、その荘厳さに魅了される人は後を絶ちません。
こうして登録理由をより深く知ってから訪れると、新たな発見がありそうですね。